個人的なパワーメーター(ペダリングモニター)についての考えを少し。
パワーメーターを使った練習で大事なのは、
①メーター上で高いパワー値を表示させる走り方と、実際に速く走れる走り方は違う事。
②メーター上で優秀なペダリング効率数値(80%以上)を表示させる走り方と、実際に速く走れる走り方は違う事。
この2点を絶対に忘れてはいけないこと。
メーター上でいくら高い数値を出せたとしても、必ずしも現実世界の競技力とは一致しないという事。固定ローラー上でいくらパワーが出せたとしても、それが実際に走って速いかどうかは別の話であり、逆に言えば、とにかくパワーを出す(メーターの画面に高い数値を表示させる)だけの走り方が存在する。
これを踏まえた上で、“このフォームなら現実世界でも速く走れるから、ローラーの上でも、現実世界でのフォームに制限した状態で出てくるパワーを上昇させたい”と考える。
この「制限された状態」というのが重要なポイントになる。
上記のように頭で考えるだけなら簡単だが、実際に現実世界での速いフォームをローラー台の上(仮想世界)に高い精度で再現するのは非常に難しい作業である。しかしそれが出来ないければ、「今日は1000w出たよ、やったぁー」だけで終わってしまうのだ。
しかし、それが出来る人はすでにパワーメーターから卒業しても良いレベルの人だ、というのがパワーメーターのジレンマである。
このことに言及せずに、パワーメーターはロングライドにも有用ダー、という文が散見されるが、個人的にはロングライドならなおさらパワーメーターなんか気にせず楽しく走ればいいと思う。
現在のパワーメーター推しの風潮には、ビジネス的な要素を感じざるを得ない。
ある程度パワーメーターでの練習が進むと、パワーメーター自体を使わなくなってくる。なぜなら自分でどのくらい出力を出しているかが感覚的にわかるようになってくるからだ。
そうなるまでの平均は、およそ半年くらいだと思われる。
また、パワーメーターの有力な使い方の1つが、「アンタはこれ以上のパワーでは走れないんだから、今すぐパワーを落としなさい」と客観的な数字で伝えてもらうものだが、自転車はたとえキツくても頑張らなきゃいけない時がたくさんある。
パワーメーターは、そういう気持ち、根性を抑える副作用がある。
ロングライドをしていて、坂を上っている時に辛さに負けてギアを落としたら余計に辛くなった!という経験はないだろうか? 自転車に乗っていると、「実は頑張った方が楽」という状況に良く遭遇するのだが、パワーメーターを使わないことで気が付く大事な経験知が、パワーメーターを使っていたがために気が付かないまま、進んでしまう人がいる。それは結果的に、次の壁が乗り越えにくくなってしまう事につながってしまう。
確かにパワーメーターを使わないと進めないステージがあるとは思う。
ただそれは本当に高い高いステージであり、今の私では、どの程度のレベルになった時点でパワーメーターが必要になってくるのかの判断がつかない。少なくとも今の私に必要だとは思えないし、自分の肉体に根性が追い付いていない。
パワーメーターは、心・技・体のうち、体しか鍛えてくれない。
一度興味本位で手を出して、その後必要ないと判断したパワーメーターを使う日がいずれ来るかもしれないが、その時はまた、その時の判断の基準を記せればな、と思う。
~2015.4.9の日記より流用
- 商品名
- パワーメーターについて
- 登録日時
- 2015/04/10(金) 19:46
- メーカー名
- その他