先月号ではレース前日の話をしたので、今回はレース当日の話を書こうと思います。
【スタートの前の機材確認】
クイックがちゃんと締まっているか、ブレーキは方利きしていないか、この2つはスタート前のチェックのテンプレとして押さえておきましょう。その他の項目ではチェックしても直すために工具が必要な場合が多く、事前のチェックが必要です。
僕は以前、TTレースでDHバーが抜けてしまうというトラブルがありました。実はその数か月前から緩んでいるのは気づいていたんです。ポジションを出すためにマーキングがしてあり、片方が少し抜け始めていたのもわかっていたんですが、スパナでキュッと締めるだけの整備がめんどくさかったんですね。言うて10分走るくらい大丈夫でしょう!と甘く見ていたら、ものの見事にダメでした。ちょっとくらい大丈夫だと思っても大丈夫じゃないので、みなさんも油断しないように。
【補給食】
補給食のゴミはポイ捨ては絶対しないように。テレビでプロがポイポイ捨てているのを観ますから、自分もやってよいものかと錯覚してしまいますが、ポイはダメです。どのスポーツでもトップ選手にだけ暗黙的に許されている非模範的行為があります。アマチュア選手の手本にはなっていませんが、だからといって僕らが真似してはいけません。
補給食のゴミは捨てちゃいけないとか言いつつも、バナナの皮を捨てようか迷ったことがあります。今年のGWのエンデューロにソロ参戦したのですが、補給食を用意して行くのを忘れていたため、近くのコンビニでバナナを買ってポケットに入れて行ったんです。そしてレース中に食べて残った皮を目に、なんとなくバナナの皮だったら捨ててもいいかなとか思ってしまって…。バナナの皮ならそのうち勝手になくなるじゃないですか。結局は捨てなかったのですが、おかげでポケットはぐちょぐちょ、皮も真っ黒。しかも店長選手権で貰ったチャンピオンジャージで参戦していたので、いまだにあのジャージからはおいしそうな匂いがします。
そういえばヨーロッパのプロってバナナ食べるのも速いですよね!パクッ!パクッ!ゴクン!って。真似してやってみたら、パクッ!パクッ!ゴホァッ!
【有言実行にこそ価値あり】
試合前のストレスを軽減したいと思った時、あまり勝てるとは思わないとか、完走が目標だとか、自分自身でハードルを下げようとしてしまいがちですが、それはやってはいけません。日本は「無言実行」が美徳とされますが、スポーツにおいては「有言実行」がとても重要になってきます。ちゃんと「勝つ」と言いきる事が大切。
どんなレースであっても、レース前はストレスが大きいものです。本来、負けたらどうしようとか、無事に勝つことが出来た、とかいう考え方は、対戦相手への敬意に欠けていて良くないのですが、周囲からの期待が大きくなればなるほど、そういった状況に陥ってしまいます。
でも有言実行のプレッシャーを乗り越えた先に待つ光景は、無言実行では比較しきれないほどの満足感を得ることが出来ると思います。具体的な目標を掲げたら、ぜひそれを宣言して臨んでください。
【落車に関して】
僕は基本的に周りは全てキチガイだと思って走っています。
クリテリウムやスプリント直前以外で、真後ろにピッタリ付けることはまずありません。当然風を受けますし、ポジションを落とすきっかけになってしまうかもしれませんが、僕はそれで良しとしています。落車を避けることより優先すべきことはないからです。
また、たいていのレースは初心者と上級者が入り乱れます。
レースを走っていると、上級者が初級者を排除しようとしたりする風潮がありますが、勘違いもいいところです。本来は上級者が初心者を守るべき立場であるにもかかわらず、上級者が初心者に対して退けと怒鳴ったりするのを見ると、それは違うでしょと思いますし、実際に注意することもあります。初心者を守れない人もまた、初心者です。
それと、ダメだった時は素直に諦めることも、無意味な落車を避ける上で大切な事です。
優勝には価値があります。入賞も争う価値があるでしょう。
しかしそれ以下の着順争いには、ほとんど意味はありません。レースは落車が当たり前ではない。それをみんなで共有していきましょう。
【ダメだったところを覚えておく】
レースに出れば自分のダメなところがよくわかります。
ダメなところがわかったら、あとは練習するしかないですね!
これから以後3回に分けて、具体的な練習方法の考え方を提示してみようと思います。
1回目はルーラーとインターバル、2回目はスプリントとパンチャー、3回目はヒルクライムとTT、の予定です。
- 商品名
- 【BN】第32回最速店長日記:レース当日気を付けること。
- 登録日時
- 2014/07/20(日) 20:46
- メーカー名
- サイクルスポーツ連載記事『最速店長日記』バックナンバー