スーパーレコードRSの“RS”は、レーシングスペックの略。
RSが発売されるにあたって、何を一番の宣伝文句にしているかと言えば、変速性能です。特にフロントチェーンリングの歯の形状を最適化し、シフトアップの確実性と速度アップを向上をさせたそうです。フロント変速はコンポの最重要課題であり、もっとも難しく、チェーンリングはフロント変速において最も大事なパーツです。
ただ、フロントチェーンリングの形状見直しによって変速性能が向上しました~なんていうのは、どのメーカーのどのグレードでも、いつの時代も同じ事が言われてきました。当然僕がそれを鵜呑みにすることはありません。
幸い、現行のスーパーレコードと、スーパーレコードEPSで組まれた自転車が手持ちにあるので、変速性能の比較が直接できます。また手持ちのメカニカルのスーパーレコードはFメカだけコーラスで組んであるので、Fメカの羽の差による誤差もないはずです。インプレッションは一瞬です。タノシミデスネ。
また小ネタとして、スーパーレコードRSのクランクとスーパーレコードEPSを組み合わせたらどうなるかも試してみます。と言ってもスーパーレコードEPSの方も、FメカだけはレコードEPSになっているので、正確に言うと、RSのチェーンリングと金属羽のEPSを組み合わせた時に変速性能は向上するのか、メカニカルコンポとして最適化したというRSはメカニカルでのみ有用なのか、という話につなげたいと思います。
さて、カンパはシマノと比較され、変速性能が悪いと言われます。
しかし僕はカンパの変速性能がシマノに対して劣っているとはほとんど思っていません。シマノと比較して、変速スピード、正確性、どちらも大きな差はなく、ほぼすべて使い手次第だと考えています。
そもそもすべてのコンポは、何の気兼ねもなくレバーを押すだけで変速は決まってくれません。変速の構造を理解して、コンポの理にかなう動きを使い手側がアシストしてあげないと、たとえメカだろうが電動だろうが、しっかり変速してくれません。
ですからカンパがシマノに比べて劣っているとしたら、その問題点は変速性能が悪いのではなく、「変速させるために必要なレバーのストロークが長く、手首をひねっている時間が長い」この1点のみなのです。
そしてこの1点のために、シマノに圧倒的な軍配が上がっているんです。
ちなみに僕がカンパを使う理由は、
①ホイールはすべてのパーツのなかで最も優先順位が高く、クランクを除いたコンポはもっとも優先順位が低い。
②ホイールはカンパニョーロがいい。
③シマニョーロは美しくない。
この3点です。
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カンパのスーパーレコードRSを組みました。
組み付けたのはルック・595、昨晩夜な夜な2時半頃に組みあがりました。
組み立てて、使ってみて、結論から言うと、今回のRSは、今までのスーパーレコードとは完全に別物であり、珍しくメーカーの宣伝文句をそのまま感じ取ることが出来ました。
組み付けていて、まず初めに気づいたのは、フロントメカの羽の幅が15%くらい狭くなっていたこと。また、羽の形状が複雑に波打っていて、特にシフトダウン時にレバーを押してからチェーンに当たるまでがとても早くなったこと。この形状を具現化するために羽の素材をカーボンから金属に“戻した”んだな、とポジティブに捉えることが出来ました。私はもっと単純でネガティブな理由を考えていました。ごめんなさい。
これに対する副作用は、シマノに比べてただでさえ狭いセッティング範囲がさらに狭まったこと、つまりワイヤーの伸びによる調整の狂いが生じやすくなったはずです。ただ調整なんかすればいいだけの話なので、間違いなく現行のスーパーレコードよりも良くなっています。いちおう工夫として、シフトワイヤーをクロスで組み(フロントメカの調整アジャスターを右手側に持って来て)、片手で回しやすいアジャスターを選んでおきました。
せっかく昨日夜遅くまでかけて組み上げたのに使わないのがもったいなかったので、榛名山ヒルクライムには695ではなく595を持ってきました。
そして組み付けた翌日に、ヒルクライムのコースを1本走ってみて感じたのは、全体的にレバーのボタンがカッチリしたこと。悪く言えばボタンの動作が硬くなった、よく言えばシマノっぽくなってクリック感がハッキリしました。カンパのレバーのクリック感はある程度調整できるのですが、とりあえず梱包時のまま組んで見たところ、非常にカチカチとハッキリしたレバーの感覚になっていました。全体的にバネレートが上がっていると感じましたが、特にリアのシフトダウンにおいて、最も改善の恩恵があると感じました。
今までみたいに、グリュグリュッとした感覚でもいいし、スーパーレコードRSのような分かりやすいクリック感もいいと思います。正直どっちでもいい。カンパは以前からこのレバーのクリック感にはすごくこだわっていますが、ぶっちゃけ言うと、カンパがこだわってるほど僕がこだわっていません。ただレバーのクリック感はカッチリしてる方が好きという人の方が圧倒的に多いので、方向性としては歓迎される方が多いと思います。
変速スピードはフロント、リアともにかなり速くなりました。特にフロントはレバーのストロークが25%くらい減り、フロントメカの羽の形状の変更もあり、かなり変速がはやくなりました。ここが一番の改善点です。
クランクに対しては、何か思うことはありませんでした。違いは何もわかりませんでした。なので変速がはやくなっても、僕が速くなるわけじゃないため、RSだろうが無印だろうとどっちでも構わないんですけど、もしこれからもう1セット買うとなったときに同じ値段出して買うなら、間違いなくRSの方です。断言します。
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Q.クランクのみスーパーレコードRSに変更し、残りのコンポを現行のスーパーレコードと組み合わせた場合
A.上手くいかない。
【解説】
フロントディレイラーの形状の変更による改善は大きい。また、RSの良さの1つとして、レバーのストローク量が少ないことがあげられる。『レバーのストローク量が少ない=変速機が変速ポイントまで移動する時間が短い→変速が速い』であるため、クランクのみ変わっても、ノーマルとRSとの差ほどは変わらないし、FDと合わせてこその変速能力改善だとも感じる。
Q.レコードEPSとスーパーレコードRSを組み合わせた場合
A.上手くいかない。ノーマルのスーパーレコードを使ったほうが良い。
【解説】単純にEPSの移動量やFメカとのクリアランスが合わない。チェーンやチェーンラインは変わらないはずだが、ノーマルのスーパーレコードをそのまま使う方が全然良かった。
結論:スーパーレコードはスーパーレコード、スーパーレコードRSはスーパーレコードRS、EPSはEPSが良い。
- 商品名
- カンパニョーロ・スーパーレコードRS
- 登録日時
- 2014/05/23(金) 16:17
- メーカー名
- その他