さて、フレーム選びの際にはサドルのことは考えなくてよいことがわかり(本誌2月号)、トップチューブの表記にもまやかしがあることに注意して(本誌4月号)、適正なサイズのフレームを選ぶことが出来ました。ではその他のパーツはどう選んでいけばよいでしょう。結論から言うと、残りは見た目で選んでしまって構いません。
フレーム以外のパーツを選ぶときは、根本的な良し悪しではなく、感覚的な好き嫌いで選ぶことが多くなってきます。フォームやポジションの制限も少なく、乗り方が変わるだけであり、根本的にムリ!ということにはなりません。
雑誌のインプレもインターネットの評判も、読み物としては楽しいけれど、結局決め手は、自分のバイクをどれだけかっこよくしてくれるか、だと思います。フォームとかポジションとか関係ないパーツにおいては、あれこれ考えずかっこいいやつ選べばいいんです。
【大事なものと、大事じゃないもの】
もし僕が40万円でロードバイクを買ってレースに出ようとしたら、15万円のアルミフレーム完成車を買います。そして残りの25万円を全部ホイールとタイヤに突っ込みます。フレームはポジションやフォームには大きく影響してきますが、自転車の走りの性能に対してはそれほど大きく寄与してきません。
パーツを選ぶ時に大事なのは、各パーツにおいてバイク全体に影響するパフォーマンスの割合が違うというのを前提に置いて考えることです。例えばタイヤとホイールでは、タイヤの方に優先順位があります。1万円のホイールに7千円のタイヤを付けるのと、20万円のホイールに2千円のタイヤを付けるのだと、たとえ1万円のホイールであっても、良いタイヤが付いている方が速く走ります。
同じような話で、アルミフレームにカーボンハンドルがついているのと、カーボンフレームにアルミハンドルがついているのでは、カーボンハンドルが付いている方がはるかに快適です。極端な具体例で言えば、サドルを変えても別に速くはなりませんよね。
ではそれが20万円だったらどうでしょう。同じく15万円でアルミフレームのシマノ105完成車を買い、しかしホイールを買う予算はありません。僕なら残りの5万円はペダルとシューズに使います。この仮定はレースに出るという話から始めましたが、自転車の性能を上げるには、と言い変えることもできます。つまり僕は、タイヤとシューズさえ何とかしておけば、あとは何とかなると思っているのです。
【シューズの試着の基本】
さて、ではシューズの選び方ですが、基本的に使って見なきゃわからないというのが結論です。ですから4万円のシューズに手を出した結果、走ってみたら痺れちゃうなんてことも大いにあり得ます。4万円もするシューズ買って失敗したなんて、目も当てられませんね。失敗の確率は少しでも減らしたいところです。
試着の方法にはいくつかポイントがありますが、その前に一言。基本的に自分の履きたいメーカーが履けなくてもめげない事です。市場には主なシューズメーカーが9社ありますが、その中で自分に合うのは、大体1~2メーカー程度です。
例えば僕はディアドラを履いていますが、何もディアドラを履きたいから履いているわけではありません。僕が良いなと思っているのはスペシャとシマノですが、残念ながら足の形が合いません。僕の足が「ディアドラの足」だったからディアドラを履いているだけです。自分がカッコいいと思っているシューズが履けたらラッキー程度に思いましょう。
では試着時のポイントは3つ。
1つ目は、右と左の足の大きさが違うというのを意識しておくこと。そして大きい方の足を基準にすること。2つ目は、15分くらい履いたままの状態でいる事。一見サイズが合うからと言って、すぐには脱がない事。ショップ側が許すならそのまま歩き回って、特に小指の圧迫感に意識を置いてみましょう。3つ目は、夜に試着すること。そもそも靴は必ず夜に試着するのを習慣にしましょう。
これらはロードバイクに限らず、シューズ選びの基本です。これらを実践できれば、大きく失敗してしまう事はまずありません。それでも失敗してしまった場合は、ドンマイです。
【次号の話】
今回特筆しなかった中で、最も大事なパーツがクランクです。バイクの顔ともいえるクランクは、バイクの中でも最も重要なパーツの1つであり、何となく買ってしまうとレベルアップのチャンスを大幅に失ってしまいます。さらにクランク長はフォームとポジションを考えるにあたって、話の中核となってくる部分です。
次回はクランク長とポジションとフォームの3つの関連性と、それらの大まかな捉え方を話していこうと思います。
- 商品名
- 【BN】第29回最速店長日記:僕はシューズとタイヤは妥協しない!
- 登録日時
- 2014/05/07(水) 16:58
- メーカー名
- サイクルスポーツ連載記事『最速店長日記』バックナンバー