仕事後の3時間程度の仮眠、そして朝2時に群馬に向けて出発。ここから長い長い2日間が始まる。
最初の試練は運転だ。
途中で佐野君を拾い、6時半程に到着。
サイクルフリーダムの実業団チームにとって、群馬CSCロードは初参戦の場。
昨年出ていたE3レースを、今度は観戦する立場になった。
来年Jプロツアーで走るためには、最低限5人のE1選手が必要。だから、醍醐君、金久保君、鴇田君、石丸さんの4人の中から1人でも多く昇格することは、E1の佐藤さん、佐野君、風間君、店長の4人がE1で勝つことと同等に優先されるノルマ。8人全員がそれぞれに危機感を持って臨む、常にストレスと戦いつづける1年になる。
E3レースは醍醐と石丸さんが落車で遅れたものの、金久保君と鴇田君は先頭集団に。特にスプリンターである鴇田君は、スプリント戦になる確率が非常に高い群馬CSCではかなり期待できる。
鴇田君はサイクルフリーダムにとって、待望の純粋なスプリンターだ。今は私がスプリント戦でエースを担っているけれど、私が特別スプリントが強いわけではなく、単純にチームにスプリンターがいないからだ。私の脚はエースを運ぶためのルーラーが適任だと自負している。
彼がまともにスプリントに参加できれば、まず下位クラスでは負けないだろう。お世辞ではなく、私や風間ですら太刀打ちできないと思っている。近い将来、佐藤さん→風間君→店長からのリードアウトで発射する光景が見られると思う。本当に楽しみだ。
鴇田君は最終的に6位。スプリント中に斜行されてブレーキかけざるを得なかったそうな。金久保君は集団ゴール。ドンマイだ。明日頑張ろう!
E1は1周6㎞の群馬サイクルスポーツセンターを9周、合計54㎞で行われた、今季初の実業団ロードレース。
始まって30分はいつも集団の最後尾でダラダラすることに決めている。もし中切れして、自分の力だけで詰めることになってもいいと割り切っている。
最近はレースへのモチベーションを自分自身で上げられず、自然に上がってくるのを待つようになった。勝ちたい!というより、負けたくないという考えが強くなり、負けないためにどうすればいいかと考えるようになった。実業団のE1クラスは、各チーム内上位5名によるポイントランキング戦。フリーダムは4人しかいないし、出られるレースも多くないから、出場するレースでは常に優勝+上位複数入賞が求められる。より確実にポイントを集めていかなければいけない中で、どうしても気持ちが守りに入ってしまう。
それじゃいけないのはわかっているけれど、なんだかダメなんだ。30分くらい後ろで走っていると、ヤリたい気持ちが抑えられなくなってくるけど、最初の30分の心情は落ち着かない。そんな中で、E1では中切れや落車の心配が全く無いことが、わずかばかりの救いだった。
レースはダラダラと展開し、集団の最後尾で3周のウォーミングアップ、風間が逃げている時に先頭に上がって3周、そして最後また最後尾に3周いてそのままゴールした。
実は周回数を間違えていた。
周回数を間違えるのは初歩的ミスだし、当然避けなければいけない。ゴール地点に残り周回数が書かれたボードは斜めになっていて良く見えないけど、6㎞のコースを9周だから54㎞でフィニッシュ。ちゃんとわかっているし、34㎞あたりからず~っとメーターを見続けてきたのに、なぜか60㎞走るつもりでいた。もちろん周回数が9周だというのもわかっている。でもなぜか頭の中では『6×9=60』だった。
走行距離52kmの時点でさえ、あと1周あると思い込んでいた。坂1回+カウンターアタック数回+ゴールスプリント用の余力を残して、活性化しない集団の中でスプリントの状況を何度も何度もシュミレーションしていた。
最終コーナーで落車があり、それを避けた後にチームメイトから“ラストだ!追い込め!”と言われ、“ん?なんで?”と思いつつメーター見て、先頭がなぜかピョコピョコとダンシングをしているのを眺めて、そこで初めて自分が周回数を間違えていたのに気づく。最終コーナーでの出来事なので、気づいた直後に終わり。
レース後、他チームの人達から「店長マークしてたのに全然動かないからおかしいと思ったんだ」と言われた。なんだかずいぶん信用されてるみたいで。笑
冗談はさておき、やってしまったどころの話ではない。
私がエースを任され、チームとして年間ポイント的に失敗が出来ない中で、本当に取り返しのつかないミスをしてしまった。煮え切らない脚ばかりが残るレースの後で、口先で明日に切り替えようと発言してみるものの、あまりの虚無感にしばらく動けなかった。
スプリントのシュミレーションを鮮明に描いた。最後尾からのポジションのジャンプアップのタイミングを何度も何度も試し続けた。脚を残すことを最優先にしていた。でも『6×9=60』だったんだ。
その晩、70デシベルのいびきを放つ監督の隣で、群馬CSCを走っている夢を見た。
レース直後の虚無感の中で放った「もう一回やろう?」という言葉が、そのまま夢に現れたんだろう。
DAY-2に続く…
- 商品名
- 【E1:JBCF第7戦 群馬CSCロード2DAYS DAY-1 2014年4月26日】
- 登録日時
- 2014/04/29(火) 12:39
- メーカー名
- JCF/JBCF レースレポート