【いきなりですが、おわび】
本当は機材の話とトレーニングの話を並立しようとしているのですが、今回は思いのほかトレーニング編の文字数が増えてしまい、機材に対して言及することが出来ませんでした。
【2月の練習】
2月は筋トレに入ります。春先にピークを迎えようとしている人は、すでに始めているかもしれません。1月のバイクトレーニングは30分程度に控え、体幹および基礎トレーニングを優先してきました。特に腹筋の量は、からだ全体の筋量とほぼ比例しますから、いくら筋トレをやっても腹筋がしっかりしていないと効率の良い筋トレになりません。1月の徹底した腹筋トレーニングは、まさに2月のための土台作りでした。ただし腹筋のトレーニングは年間を通して続けていきます。
基本的に、ウェイト機材を使った筋トレは、広背筋と内側広筋のみで、脚部や臀部のトレーニングはローラー台で行なっていきます。僕は、クランクを回す時に必要な筋肉は、クランクを回すことでしか鍛えられないと考えています。
また、ウェイトトレーニングでピンポイントに鍛えた特定の筋肉を、クランクの回転運動の一連の動作に転嫁させようとすると、結果的にペダリング効率を大きく落とすことになると感じています。それであれば、実際の回転運動で負荷トレーニングをした方が、はるかに効率が良いと考えられます。
僕が負荷の高い実走で筋肉痛になるときは、決まって脊柱起立筋の骨盤付け根と中臀筋であり、大腿直筋が筋肉痛になったことは、あまり記憶にありません。つまりスクワットでいくら太ももを鍛えても、それは僕が実走でメインに使っている筋肉ではないということです。また、ウェイトトレーニングで大腿直筋を直接鍛えようとすると、必ずひらめ筋まで負荷がかかってしまうため、大腿四頭筋群よりもさらに使わない筋肉にエネルギーを割くことになり、最終的に競技に反映することまで考えると、非常に効率の悪い作業になってしまいます。
【具体的なウェイト方法について】
「ローラー台で40秒間のアベレージ負荷トレーニング」を行います。人間の構造上、7秒以上40秒以下の運動のメインエネルギーはタンパク質であり、それこそが筋肉のパワーアップと貯蔵可能なエネルギー量の増大につながります。7秒以下では靭帯と糖分、40秒以上の運動は脂肪を使った収縮運動が主となるため、際立った筋力増大にはつながりなりません。ですから、トレーニングの効果を把握した上で、正確にノルマをクリアしていかなければいけません。
【餅は餅屋】
ここで注意すべきなのが、自転車屋さんは自転車整備のプロであり、サイクルスポーツは自転車雑誌であるという事です。いずれもトレーニングの専門家ではないため、極端に言えば、自転車屋さんにトレーニングのことを相談するのは畑違いなのです。ウェイトトレーニングの正しいフォームとインターバルメニューを得る事を自転車業界に期待することは、正直難しいと思います。
スポーツ科学との筋トレのメカニズムとを学び、競技特性を把握した上で、トレーニングメニューを作成できる人というのは、あまり聞いたことがありません。また、いたとしても、それがアマチュア界にいる事は稀だと思います。プロ選手であれば、プロのトレーナーが近くにいて、自分の能力を競技力に繋げてくれるコーチがいますが、アマチュアは、それらすべてを自分1人でやる必要があります。人間の特性を把握した上で、練習時の自分の状態を客観的に観察し、最終的に練習メニューを作成していく事。これは非常に難しいことだと思います。
【強い選手は勉強をしている】
身近な人に聞く、というのが難しい場合は、自分で勉強するしかありません。
プロ選手がスポーツ科学を独学するという話は有名ですが、それは特別なことではなく、各カテゴリーのトップ選手は、高校生の時点で基礎理論程度は、勝手に勉強し始めています。
しかし、そのあたりがロードバイク界は疎く、若手選手らの、がむしゃらに乗っていれば速くなる、的な風潮に対して失望したことがあります。ただ乗っていれば強くなるなんてことは、始めて数か月内の話であり、実力はすぐに頭打ちになります。強くなるには強くなる方法があり、効率の良いトレーニングは、人間の壊し方と直し方を知って、初めて得ることが出来ます。
トレーニングで疲れて体が動かないときは勉強をしましょう。限られた時間の中で効率よいトレーニングを行えるようになりましょう。もし周りが勉強をしていなくとも、自分だけでも勉強していけば、その分だけ勉強していない選手に差をつけることが出来ると考えてください。
僕は、生まれつきの人間の個体差、肉体の性能差は、あまりない、ほとんど関係ないと考えています。ですから成長の速い選手と遅い選手の差は、知識量と練習効率の差がほとんどなのです。
- 商品名
- 【BN】第27回最速店長日記:この時期からのトレーニングメニューと理論
- 登録日時
- 2014/02/20(木) 19:12
- メーカー名
- サイクルスポーツ連載記事『最速店長日記』バックナンバー