フェルト・エーアールワン。通称エロワン。
僕が695に浮気をして出て行かれましたが、当時はデュラエースのメカニカルコンポとFSA・Kフォースのチェーンホイール、そしてジップ404で組んでいて、体重は6.7㎏でした。(ペダルやサイコン込) 当時のルック・586が6.4kgで、かなりダイエットしていたので、AR1は軽くは仕上がらないということです。
ん~…どこから話しましょうか…まずスローガンである「the Fastest roadbike in the world」からかな。
僕が所有していたのは09/10シーズンのものですが、当時AR1並のエアロフォルムを作りこんでいたのはサーベロのSシリーズだけでした。
単純な単独巡航だけで言えばそのS3より速かったです。
エアロフレームは実際には、AR1やサーベロSシリーズまで作りこんで40km/h台後半以上で走ると効果を体感できる程度です。シートチューブやフロントフォークだけを鋭利化しただけの、なんちゃってエアロフレームは全く意味がありません。ワイヤーを内蔵化は、ダウンヒルで80km/h出しても実感しないレベルです。
僕がAR1を手放してからすでに5台、プライベートバイクが変わりましたが、僕が所有してきたロードバイクの中で、単独巡航だけで比べるなら、おそらく一番速かったバイクだと思います。ジップを使っておいて平地が速かったなんて言ってもナンセンスですが、メーカーに借りたハイエンドを目いっぱい思い出しても、これより速かった印象を残したバイクはありません。重ね重ね、単独巡行に限れば。
大パワーに題するねじれ剛性や、ダウンヒル時の横剛性は低く、他のハイエンドに対しては劣っているところです。また、空気抵抗は集団の中に入ってしまえば全く意味がないため、あまりアドバンテージにはなりません。
単独巡行で抜け出して一人逃げをする人に対して、AR1は最高の相棒になると思います。適度な柔らかさとは言いますすが、ミドルエンド、セカンドグレードのフレームらとは比較にならない剛性はもっていますので。
剛性面で特徴的なのは、ダウンチューブの剛性が低い事。通常、単独巡航のために絶対剛性を快適さに割り振った場合、たいていのメーカーはフォークとシートステー剛性を落すのですが、AR1はダウンチューブがやわらかい。BB回りはビタッとしていて、シートステーとチェーンステーのバック三角もしっかり作りこんであります。ダウンチューブをやわらかくしてあるのは、モノコックとしては珍しいですね。エアロフォルムで扁平しているから…と思ったこともありましたが、サーベロのS3はダウンチューブまでガッチリなので、まちがいなく意図的だと思います。あと弱くしていたところと言ったら専用のシートピラーくらいかな…。
フォークも今の大口径ベアリングを使用したマシンと比べるとたしかに柔らかいけけど、当時はあれが正常値でした。ハンドルもクイックに動くし、今乗ってもとても良質なフォーク。ぶっちゃけフォークさえしっかりしていれば、ロードバイクはある程度ちゃんと走るんだよね。それでも、ダウンチューブの真ん中とシートクランプを境に前後がバラバラに動くから、一緒に所有していたピナレロ・ドグマと比べると、乗り方を強制されるマシンでした。
月日が経って変わったところは、セットバックがあるシートピラーが発売されたところです。専用シートピラーはセットバック0㎜なので、サドルをしっかり後退させたい人には嫌なはず。フェルトの設計意図としては、ダウンチューブが縦にやわらかいわけではないしフレーム全体の絶対的な剛性も低いので、空気抵抗を考えても低姿勢+前乗りが正しいのですが、他のマシンとの併用を考えれば、AR1だけサドルポジションを前に設定しているのは気持ち悪かったです。
AR1 とF1の関係は、ボーラとハイペロンの関係ととてもよく似ています。単独50km/hで走っていれば、ハイペロンよりボーラの方がアドバンテージはあると思います。でも40km/h程度で走っていたり、集団の中にいるのならば、ボーラはいらないんです。山だってハイペロンの方がいい。単独50km/hで走れる時間は10分しかないのだから、使うならハイペロンの方が良いよね!
…というのが、AR1とF1に交換してもまるまる当てはまります。
ただし、ハイペロンよりボーラの方がカッコ良い!というのも当てはまる感じもしますね。
~元愛車~
- 商品名
- フェルト AR1
- 登録日時
- 2012/02/15(水) 15:45
- メーカー名
- フレーム