実業団レースの1つである、石川サイクルロード(福島)に参加してきました。
参加クラスはE2、結果は優勝。
実業団レースは3レース目、体重は64~65㎏。ついに64㎏台か...。
チームメイトは佐野千尋君。クライマー系で、前回の栂池ヒルクライムでE2の2位以下よりも速いタイム、E1でも8位に入るタイムを出して優勝して昇格した人。実業団レースでは3位内に入ると上のクラスに昇格するので、つまり今回一緒に走るチームメイトは、このレースでもトップクラスの登坂能力を持っているわけです。
コースは1周13.6㎞の周回コースを4周で54.4㎞のレース。登りと下りしかないコースで、8㎞下って5㎞登る感じ。その間アップダウンがないわけではないけど、レースには差支えない程度。それよりも公道の周回コースだから、交差点での落車に気を付けないといけない。70km/h近い下り→ブレーキ→グレイチング→90°コーナーの繰り返しだから、集団内は相当なストレスと付き合うことになる。
<レース前>
レース自体が6週間ぶり。それだけ実践が遠のくと、そういやレースってどんなんだっけ?ってなる。
レース前に一番しなくちゃいけないことは精神統一。対戦選手はジャガイモだと思う事。相手選手の顔は見ない事(強そうに見えちゃうから)。鏡を見て気持ちを落ち着かせる事。あれだけ練習したんだから大丈夫だと自分を励ます事。
自転車だけじゃない、世間一般のありきたりな精神統一の方法だけど、当たり前のことを当たり前にしておくことはとても大事なことだ。
<1周目と2周目>
基本的にスピードレースは主導権の握りあいから始まる。20分くらいイガイガした後、どのチームがコントロールするか決まる。2周目を終えた時点で、無事フリーダムの2人が前で安定することに。
5㎞登って勾配が落ち着いた後に90度曲がって100mの登りスプリントをする。コースレイアウト的にも、過去のリザルトを見ても、このレースは間違いなくスプリントになるみたいだ。どのクラスもスプリント戦のタイム差になっている。
2周走ってみて、僕が一番スプリントが強そうに思えた。だから脚を溜めることを最優先していたし、実は最初から200㎞レースを走るつもりで臨んでいた。200㎞走るんだから最初の50㎞なんかで力を使うなよ、と。
<3周目>
佐野君とまともに走るのはこれが初めてだけど、案の定、速い。普通に走っているだけで飛び出ていってしまう。佐野君と僕ともう1人で集団から逃げられそうな時もあった。
でもここは下りが8㎞もある。逃げる以上に逃げを潰すのが簡単だから、結局逃げは決まらない。過去のレースがそう教えてくれている。途中、他チームの人から、逃げないの?と聞かれたので、“僕はスプリンターだもん。誰も動かないならそれが一番いいよ”と嘘をついたりした。もちろん周りに聞こえるように。
絞られた集団のメンバー達に、最後まで僕といたら負けだと教えておく。それに僕をチギるには、まず佐野君をチギらねばならない。集団内でもっとも登板力のある佐野君を。そして僕自身、実は“巡航力で突破できる登り”と“パワーで登る登り”は得意分野でもある。僕と佐野君を崩すには10人くらいで協調しないといけないだろう。
下りは2人で並列して走った。通常、同一チームが集団の先頭で並列することはない。せっかく2人いるのに2人して風を浴びていたらバカみたいだもの。佐野君は体重が軽くて下りが遅れてしまうから、重たい僕が引っ張るのがセオリーだろう。
でも登りは佐野君が速いから、登りの入り口で彼を先頭で入れてやれれば、登り終わりも先頭でクリアできる。佐野君を登りに一番に侵入させることができれば、フリーダムのコントロールは揺るがない。僕がしなければいけないことはそれだ。自然な加速力が足りないときはお尻を押してあげたりした。登りで守ってもらうのだから、下りは僕が守ってやらなくちゃ。
カーブはクネクネしていて見通しが悪いし、ブレーキも強くかける必要があるから、後続でも並列できるのは2人が限度。そもそもの速度も速いから、一列棒状になるのも珍しくない。後続で道が広い場所で先頭を狙うような動きが出そうなときは、あらかじめ僕が先頭に出ておいて、コーナーが続いたら佐野君が近づいてくるまで速度を下げて、あとはカーブに合わせて佐野君との幅を調節してやれば、下りセクションは一丁あがり。コントロールを握った3周目と4周目は、前を見るより後ろを見ている方が長かった。
<4周目・最終周>
ゆっくり。本当にゆっくりだ。前日の試走で僕・風間君・佐野君・佐藤さんの4人で走っている時の方がよっぽど速かった。今日は先頭を走っているのに足を止めてもいいと思ったくらい、誰も前に出てこない。
カーブで早めにブレーキをかけて他者より先に踏み始めたり、下りからの登り返しでは前との差を少し開けておいて加速しながら登り返しに入り、一気にシフトダウンして惰性とケイデンスでクリアしたり、単純にケイデンスをゼロにしない事だったり、いろいろやり方はあるけど、とりあえずラスト1㎞まで力を使わないことに集中してきた。そして集団内で一番力を温存している自信があった。なんてったってこれまで一度もまともに踏んでないし、ダンシングにいたってはただの一度もしていない。もちろんインナーなんか使ってない。
5㎞の登りには、4㎞地点で勾配がギュッと上がる場所がある。その後勾配が緩くなり、ラスト100mで90°右折。その後100mを緩やかに右にカーブしながら登りスプリントをすることになる。
スプリント区間が100mしかないことと、最後の交差点が狭い90度コーナーなことで、勝負権があるのは交差点に最初に入った6人が限度。先頭1人、その後ろに2人、その後ろに3人で、そこまで。4人で曲がれる交差点ではないし、加速は倍々の距離差になるから、曲がってから100mしかない以上、7人目以降は自力勝負に至らない。
単純なスプリント力では絶対負けないと思っていた。最後の交差点を4〜6人目であれば勝てる。そして勾配が一番きつい部分から交差点までは道が曲がりくねっているし、距離的にも3~4つくらいしかポジションがあげられない。
ここまで条件が明確になってくれば、方程式は誰でもわかる。
一番きついところを一番最初にクリアすれば勝ちだ。
登り始め4kmは佐野君と並走し、後続が抜く勢いを見せたときに少しだけペースを上げてやる。それを繰り返して、本当に最後の最後まで力を使わずにやってこれた。そして一番キツい場所で、この日初めてダンシングをした。予定通りに一番手でクリアし、さらに4mほどの“オマケ”まで付いてきた。
一番最初にクリアできたということは、一番最初に加速できるということ。仮に30km/hで走っている僕に追いつくには、それ以上の速度で走らなくてはいけない。そして僕は、僕より速く走っている人を5人まで抜かしていい。最後のコーナーは6番手で通過。勝負権ギリギリの6番手から、ゴール直前で僕より力を使った5人を相手に、後ろから発射する。
先頭の人の速度、自分の加速、ゴールまでの距離。踏み始めた時には勝ったと思った。速度差は15km/hくらいだったろう。15km/hの速度差といえば、歩きとママチャリくらいの差である。そんな速度差をもって臨むスプリントが楽しくないわけがない。今回のスプリントは人生でももっとも楽しい10秒間だった。
<感想>
完勝だと思う。そして今回のフリーダムの勝利は間違いなく佐野君のおかげだ。誰もフリーダムのエースにダメージを与えるに至らず、彼一人でE2完封しちゃったからね。
ただ、引かなくていいところを無理に引いたりもしていた。最終盤の登りのアタックに反応した際は、「引くな!」と制した後に、「山はおまえが一番早いんだ。そのおまえを、この終盤で引いてくれるヤツがいるんだから、そこは引っ張ってもらえ。利用するだけした後にカウンターしてやれ。」などと指示をした。コースマップや残りの距離を踏まえたうえで、集団の力関係と脚力の残量を冷静に判断できるようになれば、佐野はフリーダムのエースになれる。今日は彼が一番強かった。
ゴール後に、「素晴らしいアシストがいてうらやましい」と皮肉られたけど、本当にその通り。佐野君の仕事に、しっかり結果で応えることが出来て本当に良かった。というかほっとしている。あれだけやってもらって勝てなかったら佐野君に合わす顔がないし、できる事なら佐野君をE1に昇格させてやりたいとさえ思う。2戦2勝でE1昇格するという目標も、大井埠頭での失敗によりミスってしまったわけだし。次に佐野君向きのコースになったら、次は僕が目いっぱいアシストしよう。そしてはやくこれをJPTや日本選手権でやりたいね!
僕個人はE3登録から3戦2勝でE1クラスへ。う~ん...やっぱり2戦2勝の方がインパクトあるな。大井埠頭の失敗がカッコ悪い。ともあれ勝って昇格できることはとてもよいこと。今年最低限の目標はクリアした。
- 商品名
- 【E2:JBCF第18戦 石川ロード 2013年7月14日】
- 登録日時
- 2013/07/14(日) 23:16
- メーカー名
- JCF/JBCF レースレポート