フリーダム実業団チームにとって初レース。僕にとっても初の実業団レース。ついでに僕の今季初レース。結果は優勝。サイクルフリーダムの実業団チームの初優勝はサイクルフリーダムの店長本人によるものだったという歴史を手にすることができて、現在のフリーダム店長である僕は、その重圧から逃れられて安堵した。
土曜日の8時スタートの群馬のレース。金曜日は23時まで店にいた。寝ないように気張っていた移動中は、勝てなかったらどうしようというプレッシャーと戦っていた。
現地についたら雪だったり、気温が4℃だったり、事前の準備が足りなかったりと、初めての実業団レースにあたふたしていたけど、できるかぎりウォームアップに専念した。レースはたった36㎞。下手をすれば全くレースに絡めないまま終わってしまう。最初から全開を出せることが一番大事だった。
自分の実力もわからない。実業団レースのレベルもわからない。何もわからないからとりあえず一番前で走るようにした。狭いコースに192人も走るのだから、どんなに力を蓄えていてもトップ数人までしか勝負に加われない。ましてコーナーのキツいコースにウェットコンディションとくれば、集団内にどれほどアドバンテージがあるのか疑わしい。前にいる事は、勝利への最大の条件だったのは間違いない。
自分の中で事前に決めた作戦は3つ。まずは1周目の坂は必ず先頭で入り、そこでチョビットだけ踏みこんでみる。その時誰が付いてくるかを把握し、全員があまりに離してくれるようならそのまま逃げちゃおう。
1周目にそこまでの距離がなかった場合は、3周目か4周目に逃げを打ってみる。場所は何処でもいいけど、集団が一番油断するタイミングでポロッっと前に出られれば、そのままほんの少しだけ出力を上げてみる。それで差が開くようならそのまま行く。ただ、無理はしない。
それでも無理なようならスプリントに持ち込む。1周6㎞を6周だから、5周目の中盤がラスト10㎞。心情的に一番逃げを打ちたい距離。そこで絶対に逃さなければ、必ずスプリント勝負になる…。
実は今回のレースは、考えていたレース展開が、ほぼ100%実現された。結果的には半分以上が僕と風間で先頭を引き、あるいは下がっても6番手までしか落ちなかった。それ以上下がる時はジュースを飲んでる時くらいで、それもコースの重要なポイントではそういう隙は見せなかった。
3周目に少し逃げてみた。それを潰された後の4周目と5周目は、6周目のスプリントのシミュレーションをした。最後の坂でどのくらいの力でどのくらいの差を詰められるのか。どの程度足が溜まっていればいいのか、解き放つタイミングはいつか。おそらく集団でそれをしていたのは僕一人だけだった。だから僕が勝てたし、最後の最後までとても冷静だった。
先頭が最後の坂を迎えるとき僕は30m後ろの9番手。ライバル達の速度と自分の脚の余力をみて勝利を確信した。最後の1人を横目にしたとき、それはチームメイトの風間君だった。実はスプリント戦にもちこむと決めた時から、一番のライバルになるのは風間だと思っていた。実業団レースで群馬まで来て結局はいつもの朝練と同じだったことに、最後の一周で走りながら少し笑っていた。僕が風間より少しだけ速かったのは、いつも店長として背負っているプレッシャーが、少しだけ踏み足の重さに変わってくれたからなのかもしれない。
同チームによるワンツーフィニッシュはそうそうできるものではない。人生でそう何度も経験するものではないものだと思うと、ゴール後の風間との握手に力が入った。1周目から常に前で展開し、終始レースをコントロールし続け、ワンツーフィニッシュという最高の結果を手に入れることが出来た。風間君の走りが、彼だけのためではなく、フリーダムのための頑張りでもあったと感じたから、すごく嬉しかった。もらった写真の中で、日記に載せた写真が一番のお気に入りとなった。
レースの実況では、フリーダムの名前を連呼していたらしい。表彰式では、かなり楽しみなチームが出てきた、とまで言ってくれた。そうとも、これで満足してはいけない。まだまだ始まったばかり。たった1戦を終えたばかり。今年の目標はE1に上がる事。定めた目標はまだまだ険しい。とりあえず今日この余韻に浸ったら、また明日から頑張ろう。皆を引っ張る店長として。
私はこの後千葉に帰ってお店を開けた。風間は翌日も残って、昇格したばかりのE2で2位に入ってE1になった。素晴らしい!
- 商品名
- 【E3:JBCF第6戦 群馬CSCロード2DAYS DAY-1 2013年4月27日】
- 登録日時
- 2013/04/27(土) 20:55
- メーカー名
- JCF/JBCF レースレポート