自分の695SRを、Di2からEPSに変更したことで、感じたことをいくつか。
リア変速のスピードに関しては同等で、どちらが秀でているかを議論する必要はナシ。
フロント変速はシマノに軍配。フロントディレイラーのハネがカンパは圧倒的に弱く、フロント変速時に“トルクを抜く”事に対して「抜かなきゃいけないトルク」がより大きいです。無理がきかないとも言えます。そんな場面...登りのダンシング中にフロントをシフトアップ...は多くはありませんが、当然無理が利く方が良いです。もともと両者の機械式にも大きな差がありましたが、よりトルクの強い電子式(電動)になったことで差が開いた感があります。
スイッチのクリックの感覚は個人的にはカンパの勝ちなのですが、ぶっちゃけ“どっちでもいい”です。カンパはわかりやすいクリック感...シマノに対してストローク量が大きい...などと云われ、実際にも確かに大きいですが、電子式(電動)の場合、シフトのストローク量自体がそれほど重要にはなってきません。大事なのは「ただスイッチである」ことで、「変速に力がいらない」ことです。どちらもクリアです。
スイッチ押しっぱなしによる多段変速に関してですが、これはあるほうが圧倒的に便利です。僕のバイクは“新商品お試し機材”も兼ねているため、手持ちバイク4~5台で使っているコンポがほぼすべて違うんですが、使い方が混同する事はありませんでした。ただEPSが出てからというもの、Di2が付いたバイクに乗っていても、スイッチの長押しをしてしまうことがかなりあります。「対応力」には少し自信があったのでちょっと意外というか...ショックというか...。
どのくらい長押しすれば思うようにギアに入れられるかは練習する必要がある...などと良く書かれますが、多段変速はレースの重要な場面ではほとんど使いませんので、重箱の隅をつつくようなアドバイスです。ギアが行き過ぎたら戻せばよいのです。
レバーの形に付いて。シマノはスイッチが並んでいて誤作動が多い...というのは、ややカンパ側のこじつけのように感じます。
①ブラケットの普通の位置を、力を入れずに持つとき...カンパの勝ち
②ブラケットの普通の位置を、しっかり握りこむとき...シマノの勝ち
③レバーを指に挟んで遠い位置を持ちダンシングをするとき...シマノの勝ち
④エアロポジションで、かつレバーを引き付けている時...シマノの勝ち
⑤エアロポジションで指を引っ掛けているだけの時...カンパの勝ち
手の形、指の長さは人それぞれでしょうが、おそらくこの感覚はほとんど共通のものではないでしょうか?力を抜いているときはカンパ、一生懸命漕ぐときはシマノ、と綺麗に大別できる形となりました。
あの~...これは実は「カンパ全般vs.シマノ全般」に言えることなんですよね。カンパはある一定速度で走っている時にどう楽になるかを考えて作られ、シマノは疲れてもいいから最高速を追求する、という、メーカーのコンセプトの差なんですよね。
「デュラエースのクランクとレコードのクランク」がいい例なんですが、カンパに比べて、シマノははるかに乗り手に対して厳しいんですよ。地力があればシマノを選ぶ理がありますが、逆に言えば力のない人間がシマノを使うと簡単にはじかれてしまうという事になります。
カンパの電子式は機械式に比べてブラケットが太くなったと書かれていて、カンパニョーロジャパンはブラケットの形は一緒だと言います。実際は...実際にEPSのほうが太いです。第3レバーの隣に調整するためのボタンがあるんですが、それが機械式に比べて7㎜膨らんでいるために太くなったように感じます。それとその第3レバーが下に長くなったことで、ブラケットに指を巻きつけた時に、指...特に中指がレバーにあたって邪魔なんですよね。
以上EPSとDi2は、Di2の方が良いけどほぼ誤差、程度です。どんなに客観的に見ても、カンパがシマノにそうそう劣っているとは感じません。また劣っている面も、レースで重要な局面では関係ないので、差が開きません。
ただ...ただね、それはレバーだけに限った話でね...
個人的には絶大なアドバンテージを感じていたスプリンタースイッチが欠くなったため...Di2からEPSへの変更は、完全にスペックダウン。
目いっぱい踏みつけてるスプリントの時、親指をレバーにのばすとき、指がプルップルしちゃいます。そんで結局スカるんですよ。それに対してデュラエースはただ手首をひねるだけでピタリ。「ヘアピンからの立ち上がり→スプリントポイント」という流れでは、カンパは『圧倒的ディスアドバンテージ』。実際に2012のジロもツールも、カンパはほとんどスプリント獲れていません。
「指は伸ばせば届くので必要ないと考えています」というカンパニョーロ社は、何を考えているのか理解できません。なにのんきな事言っとんじゃいって感じです。シマノが、“指を伸ばせない状況でも変速をするため”に作った商品であるのに。
ただDi2に戻すかといえば、戻しません。たぶん。理由はカンパのシフトを使えばカンパの車輪が使えるからです。
コンポはシマノで車輪はカンパ。これこそ機材を自分で選べるアマチュアならではの最高の組み合わせ。でも僕シマニョーロ嫌いなんです。ヴィトンのカバンにグッチの財布が入っているみたいで。
EPSを入れる前はDi2にレーシングライトXLRでした。これもかなり反則技に近いんですが、一応カンパ社がシマノ用に作った...とかナントカいうので。でもね、やっぱりレーシングライトよりハイペロンなんですよ。
機械式カンパとデュラエースDi2との差があまりに大きかったことで、レース用ファーストバイクにカンパを使用する気にならず、結果ハイペロンが使えなかったことが一番嫌だったんです。でもEPSの登場でDi2との差が埋まり、コンポがカンパになったことで堂々とハイペロンを使うことができるようになりました。
ハイペロンを使える事に比べれば、Di2からEPSになることくらいなんてことないですね!
Di2とEPSとの比較インプレは、ハイペロンを褒める形で終わっておきます(笑)
- 商品名
- Di2とEPSのレバーに関して。
- 登録日時
- 2012/08/20(月) 16:11
- メーカー名
- その他