2021/12/14(Tue) |
スキー屋さんに行こうと思ってググったら、無かった。 年に1〜2回行く人に聞いてみると、スキー用品はムラサキスポーツで買うといい、毎週群馬に通う人らはアマゾンで買うものだと言った。海外まで滑りに行くようなレベルの人に聞くと、都内まで買いに行ってるとのこと。 小規模な個人経営店は、やってるのかやってないのかわからない店が1軒だけグーグルマップにひっかかっただけであり、そこも行ってみたら無かった。 つまりもう、スキー屋さんは死んだんだね その後調べてみるとスキーの市場規模は10年前から約20%減っており、競技人口はなんと45%ダウンと、ほぼ半減。 私は10年前のスキー業界のことに詳しくないけど、窓口がなくなれば新規顧客が減るのは当然のこと。 スキー業界でショップを残そうと考えた人は、最期になんて言って死んでいったんだろうか。 さて、では我らが自転車屋業界はどうか。 西の横綱シルベストしかり、東の横綱ナルシマフレンドしかり。10年前まで3店舗も4店舗もあった日本自転車界のトップofショップも、それぞれあと1店舗を残すのみ。 ワイズロードは過去最高益だというが、ここ数年来は店舗縮小傾向にあり、支えたのは通販部門。 これらをもって、店舗を構えて物販する時代に限界にきたのがわかる。 サイクルフリーダムはメーカー代理店の契約数が40社ほどある。東京から近いためか、毎週どこかしらの営業さん達が来てる。 その人達に「整備工賃だけで食べていけてる店はありますか?」と聞くと、あると答える人はいない。 それぞれの代理店スタッフが日本の全ての店を知ってるわけではないと思うが、30人も40人も集まって一様に無いというのだから、仮に有ったとしても相当少ないんだと思う。 そしてついに物販は限界を迎えた。 物販に頼らずに済んでる店がかなり少ないのであれば、アフターコロナで残る店もかなり少ないはずだから。 いったいこの先、どんな店が残るのか考えてみる。 例えばお金が大量にあれば絶対に潰れない。残そうと思うかぎり残すことができるだろう。 皆んなが皆んなそうじゃないけど、たとえば先代や先々代から続いて、すでに自社テナントで無借金経営の店なら、そうでない店より残りやすいはずだ。 でも物販がないと採算が取れないのであれば、単に寿命が長いというだけで遅かれ早かれ死ぬことは避けられない。 人件費がない、家賃もかかってない、物販しなくてもいい。他からの収入があって自転車屋として稼ぐ必要がない。 私はこれを「道楽ショップ」と名付けているが、これから私は道楽ショップを目指さないといけない。 フリーダムは整備だけで存続していけるようになり、アマゾンからの逃走はなんとか間に合ったとは思う。人件費も私1人しかいないからこそ最低限だし、自社テナントにも辿り着いた。 しかしテナントを作った際の借金がまだたくさん残ってる。 これをコロナと通販が業界を殺しきるまでに返済しきれるかどうかが、今後数年間の最大の焦点だと覚悟してる。 みんなフリーダムは大丈夫だと思ってるかもしれないけど、なぜか私の危機感は業界でもっとも大きい。 それは開業13年来まったく理解し難いことだったけど、つまりそれほど道楽ショップが多い業界だという裏返しだったのに気づいたのは最近だ。 ロードバイクは趣味的な乗り物だから、オートバイク業界は直接的な参考にできる。 機材スポーツという点からすればスキーも見るべきだと思ったし、おもちゃという側面もあるからヨドバシカメラやガンプラの販売変遷にも注目してる。 でもオートバイク屋もスキー屋も玩具屋も個人経営店は死に絶えた。そして自転車ショップも間もなく死ぬだろう。 自転車屋が他業界より長生きしてこれたのは間違いなく整備という副収入があったからだ。 他業界が鳴らしてくれた通販への警鐘に気付かず、その猶予期間で物販脱却が進んでいなかったとしたら、潰れる店は何故潰れるのかわからないまま死んでもらうしかない。 最後に…ショップが失くなることは残念なことなのか。 そうではなく、残念と思うこと自体がすでにショップ目線なのではないかと思う。 オートバイクだってスキーだってガンプラだって、ショップが無くなったのに趣味にしてる人はいる。だから自転車屋が無くなっても自転車に乗る人は残っていく。 ちょっとつらいことではあるけれど、ショップは無くなっちゃいけないと思うことそのものを、私は自分で否定していかなければいけない。 本当は自転車屋が成り立ってほしい。 モノは見て買いたいし、壊れたら直して使いたい。でもきっとそれは無理なんだろう。欲しいものはアマゾンでポチり、車体はテスラのように届き、壊れたら買い替えるだけ。 それの何が悪いのか。それが当たり前の時代が来ただけなのだ。 私はまだ35歳だけど、おそらく誰も、25年後にまだ物販実店舗があるとは思っていないだろう。 だからせめて、フリーダムは日本で最後まで残る個人経営店になろう。 |
2021/12/11(Sat) |
日記の更新が滞っていますが、何かあったわけではありません。 いままで通り整備して販売して、特に変わっていません。 もちろん、日記の小ネタにしていた内容も量も変わっていません。 ただ、今の物販状況は、納期が長すぎてバックオーダーが溜まりすぎて、納期の確認や回答やその返信が多すぎて。 今まで日記に費やしていた時間をそちらに使わざるを得ない状況になっています。 少なくとも、年末年始はメーカーやユーザーとのメールのやり取りはいったん落ち着くと思います。 そこで溜まっているネタを日記にしましょう。 |
2021/11/16(Tue) |
フリーダムには、他の店で買って他のチームに所属していてメンテだけ診てる人がいる。 それに関して私が何か言うことはない。 好きなバイクを買い、好きなジャージを着て、好きなチームで走るのが一番だからだ。 たとえ大阪からフリーダムに来ようとも、フリーダムの近くに住んでる人が大阪のショップに通おうとも、私は何も気にしない。 それぞれの好きなようにするのが一番だ。 メディアの取材では店長のこだわりを聞かれることがある。あるいはこだわりの詰まった店だと勝手に書かれることがある。 それは嘘だ。私にそんなものはない。 こだわりとはユーザーが持つものであって、ショップが持つものではない。 ショップは技術と知識を与えるだけであり、すべての選択肢はユーザーが持つ。それを弁えておかないと、ショップのこだわりはユーザーへの押し付けに変わる。 フリーダムのホームページのスタッフ紹介の項目には、28歳の頃に書いた文章と23歳の頃に書いた文章が残っている。 一方で新店舗を構えた34歳の時に書こうとした紹介文は、2年も経とうとしているのに未だに「執筆中」のままだ。これは以前書いた文章以上に付け加えたい何かが無いからに他ならない。 見方を変えると、これはこれでいいのだ。 フリーダムが成功するときは私がユーザーだった時の感覚を忘れなかったとき。フリーダムが失敗するときはショップの都合を優先するようになってしまったとき。そんなに遠くない過去に、そう書いた日記がある。 「好きなバイクを買い、好きなジャージを着て、好きなチームで走るのが一番。」 私がこれを思わなくなった時にフリーダムは失敗する。 私はフリーダムを日本で一番儲かっている店にしたい。 貧乏人が与えられるサービスなんてたかが知れてるからだ。逆説的には、フリーダムが最高に儲かればこそフリーダムのお客さん達は最高のサービスが得られるだろう。 フリーダムは工賃は安いし、他店購入も可だし、工具も貸し出しするうえにセルフ洗車は800円。ケータイもメーターも充電出来るし、トレーニングスペースもシャワールームもお金とってない。どうぞご自由に使ってもらって構わない。 他の店でバイクを受け入れ、他のチームのジャージを許し、他のチームで走らせる。 他店がやらないサービスを実現することで、他のショップらは自身のこだわりがユーザーへの押し付けとなっていることを認識し、いかに自分で自分の首を絞めてたかを反省するだろう。 それは日本全体のショップの質を上げる。だから絶対にフリーダムを成功させる。 |
2021/11/1(Mon) |
10月31日をもってフリーダム12年目が終わりました。 今日から13期が始まります。 今年の成果としては、なんといっても別館が建ったことです。 2年前に移転、1年前に本館が建ち、今年は別館が。非常にはやいペースで増築が進みました。 現状では周囲に土地は残っていませんから、向こう何十年にわたって拡張の余地はありません。 千葉ベロドロームの真隣、77坪の土地に250㎡の床面積、自己資本100%、ひとりでやってる店としては全国最大級のひとつになったといって良いと思います。 2年前に戻り、今のこれが移転の最終着地点だと知れば、立地と規模ともに満点だと思います。 次の目標は繰上げ返済をどれだけはやく出来るかというところになりますが、まだ繰上げ返済出来ない時期なので、しばらくは自然に過ごすことと思います。 別館の融資作業をしていたのが昨年の5〜9月。建築そのものが始まったのは今期の1月〜4月で、引き渡された5月から7月にかけては外構工事や倉庫部分の改修工事でした。 この間非常に多くの人に助けてもらいまして、感謝の念が増えました。 フリーダムが10年以上も続いてこれたことの多くが、周囲の人間関係に恵まれたことと運が良かったことが占めます。 今までは他力65%くらいかなと思っていましたが、今では80%くらいに感じます。私自身の頑張りで生み出したのは35%くらいだと思っていましたがさらに減りまして、自力で何とかしたのはせいぜい20%くらいだと。 今あるフリーダムの多くは皆んなに助けてもらった、恩寵の塊なんだと思います。あるいは自分が頑張れば頑張るほど周囲の力が増えるのかもしれません。 自転車界はこれから数年にわたり難局を迎えます。 数年前まで不況でダブついてた在庫はコロナ禍の需要で一掃され、ややバブル的に解消されました。 しかし現況は極度の品不足によって売上が作れず、経費に潰されるという新たなステージに移りました。 数少ない製品は大規模ショップにしか並ばず、小規模店にはほとんど製品が届きません。しかし大規模ショップとて店舗維持に必要な商品数には到底足りていません。 大小規模に関わらず自転車店は壊滅し、数年後にはお金持ちの道楽ショップしか生き残っていない可能性もあります。 そんな可能性を否定し、なんとか生き残らねばなりません。 定期的なメンテナンスが必要なスポーツサイクルにとって何より大事なのは、ユーザーの窓口の数だからです。 その足がけとして、昨年の本館と今年の別館は多いに手助けとなってくれるはずです。 お金と時間はかかりましたが、成果はありました。 引き続き頑張ります。 |
Page:[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11][12][13][14][15][16][17][18][19][20][21][22][23][24][25][26][27][28][29][30][31][32][33][34][35][36][37][38][39][40] |
管理用 |