キャニオンについて。 キャニオンジャパンが設立されたのが2015年。 当時の有力店や各代理店らと相談し「こんなやり方は認められない」という意見がほぼ全会一致し、フリーダムでもホームページにて全面的に取り扱わないことを公表した。 ※表立って明示までした店は少ない。 キャニオンの問題は、キャニオンのフレームそのものにあるわけではない。 代理店マージンを抑えて安く流通させることには、特に問題がない。 あくまでキャニオンに付属してくるその他のパーツ、コンポやホイールの補修の手段にある。 各メーカー代理店はひとつのフレームやひとつのホイールに対して、何百万円ときには何千万円もかけて補修パーツをフォローしている。 ユーザーのなかには代理店をぼったくりと評価している人もいるようだが、代理店で働くスタッフのほとんどは超低収入で、個々人の情熱に支えられてることが多い。 「住宅ローンが通らない」って愚痴をこぼされることも少なくないし、若手の離職率もめっぽう高い。 キャニオンについてくるシマノやカンパやマビックやジップは、水面下ではドイツ法人から手配されている。 それをジャパン法人が肩代わりするわけにはいかないため、どんな些細な内容でもキャニオンから手配してもらう必要がある。 それは根源的にはユーザーのモラルも含めて、だ。 キャニオンジャパン設立から約10年が経ち、発足当時のゴタゴタを知らないショップも増えてきた。 フリーダムも何度かキャニオンの取り扱いを見直そうとしたことがあるし、ここ最近も伺いを立てられることが増えた。 キャニオンジャパンのフォロー体制が充実し始めて、よしんば日本の自転車界に負担がかからないのなら… しかし、新製品の説明会や整備の講習会などだって日本の自転車界のお金で運営されている。もちろんサイクルモードや各イベントだって日本の自転車界のお金で開催されている。 私にプロパーな情報や知識やノウハウを与えてくれるのは日本の自転車界であり、たとえパーツの流通をドイツ経由で手配したとしても、それを整備する私の能力は日本の自転車界によって作られたもの。 だからやっぱり「メンテするだけ」っていうだけでも筋は立たない。 なぜなら私は日本の自転車界の一部だから。 最近はGCNのキャニオンゴリ押しがスゴイけど、そういうイメージ戦略もドイツのお金で行われている。 日本のショップから締め出されたキャニオンユーザーはコンポやホイールを通販で買うことになるけれど、それをAmazonで買ってVISA/masterカードで支払っていれば結局は日本の自転車界にお金は残らない。 小売店に属してる身として、日本の自転車界に属してる身として、思うことはたくさんある。 もしも自分が日本のサイクルショップの頂点の人間だったとしたら…もしも自分が家系ショップの駆け出し店だったとしたら…外部資本の中規模チェーン店だったとしたら… いろんな視点で見て、結局フリーダムはどこでバランスを取るべきだろうか。 もっと俗的に例えるなら、たとえば私がキャニオンに乗って全日本選手権に出ようとしたら、いったい何%の人が許してくれるだろうか?
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